≪夏の銘ー海川・山里≫
荒波が打ち寄せる岩の多い海岸をいう。
・青海、青海波(せいかい、せいがいは)
夏の青い海と、海原にたつ白い波をいう。
・卯波、卯浪(うなみ)
卯月(旧暦四月)の海に立つ波をいう。遠くまで白波が立つ様子を卯の花が風になびく姿になぞらえた言葉ともいわれています。
・漁火(いさりび)
魚を漁船へ誘い寄せる船に灯す明かりのこと。
・幾山河(いくさんが)
いくつもの山と川を越えていく意味を表す言葉。
・山色(さんしょく)
緑輝く山の景色を称賛する言葉。
・渓声(けいせい)
渓谷に流れる水の音をいう。
・夏嶺、青嶺(なつね、あおね)
夏の山のことをいう。また頂上の意味も。
・皐月富士、雪解富士、夏富士(さつきふじ、ゆきげふじ、なつふじ)
五月に雪が解け始め黒い山肌を現し始めた富士山をいう。
・赤富士(あかふじ)
昇る太陽に彩られた富士山をいう。
・御来光、御来迎(ごらいこう、ごらいごう)
高山の頂上で見る日の出のこと。自分の背から光が差してくるようすを阿弥陀仏の来迎になぞらえ御来迎ともいう。
・滝、瀑布、滝しぶき(たき、ばくふ)
断崖から一気に落下し飛翔する滝のようすは涼味。
・滝津瀬(たきつせ)
急流、激流のことをいう。
・白糸(しらいと)
山肌を流れる細い滝をいう。
・蝉時雨(せみしぐれ)
いっせいに鳴き出した蝉の声が頭の上から降り注ぐように聞こえる様をいう。なかでもヒグラシの声は涼やかに聞こえる。
・澄声(ちょうせい)
澄みきったすがすがしい空気の中で聞く風の音や鳥のさえずりをいう。自然の風物が清澄な状態も。
・澗水(かんすい)
さらさらと流れて滞ることがない谷の水をいう。
・真清水(ましみず)
きれいな湧き水をいう。
・磯清水、苔清水、草清水(いそしみず、こけしみず、くさしみず)
磯辺や山中に湧き出る清らかな水のことをいう。苔むした緑の岩の間、草の間を湧き出た水が流れる様は涼味。
・石清水(いわしみず)
深い森の中、崖、岩の隙間からこんこんと湧き出す清水、またその水が流れ落ちている情景をあらわす言葉。
・滴り(したたり)
岩や苔間から自然ににじみ落ちるしずくをいう。
・滴翠(てきすい)
翠(みどり)が滴るという意味。さわやかに晴れた日の新緑が濃い野山のようすを表している。
・巌の苔(いわおのこけ)
山中の大きな岩が青々と苔むしている様子をいう。
・早苗、玉苗(さなえ、たまなえ)
苗代から本田へ移し植えたみずみずしい稲の苗をいう。
・代田(しろた)
水を張り、土を掻き均して田植えの準備が整った田んぼをいう。
・田植え、苗運び、苗配り、早苗束、早苗舟
早苗を本田へ植え替えることをいう。
・早苗饗(さなえぶり)
田植えが終わった後に田の神を丁重に送る田植え仕舞いの祝宴をいう。
・青田(あおた)、青田風、青田道、青田波、青田時
田植えが終わり稲が青々と茂った田園風景をいう。
・青芝(あおしば)
春に萌え出た芝芽が伸び緑のじゅうたんに見える様。
・麦秋(ばくしゅう)、麦の秋
初夏に黄熟した麦を取り入れることをいう。旧暦の四月の異称でもある。
次回は、茶の湯の銘ー季節のことば「夏の暮らし」
※参考文献「茶の湯の銘 季節のことば(淡交社)」
当店では新旧・書付ものからお稽古もの問わず
お茶道具であればきちんと拝見、買取りさせていただきます。
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