≪秋の銘ー動植物≫
・秋の七草
はぎ、おばな(すすき)、くず、なでしこ、おみなえし、ふじばかま、あさがお。今は「あさがお」が何をさしているのかは所説あるようで一般には「ききょう」に替えられている。
・千草の花(ちぐさのはな)
秋の野山を彩り、秋の風情をかもす様々な草花のこと。
・女郎花(おみなえし)、おみなめし→男郎花(おとこえし)
黄色い粟粒のような花をつける秋の七草。おみなとは美しく若い女性をさし、女郎の字があてられた経緯は定かではないようです。この仲間で花が白いものは男郎花と呼ばれている。
・朝顔、牽牛花(けんぎゅうか)
古い時代に中国より渡来した薬用植物。種は「牽牛子(けんごし)」と呼ばれていた。和名の朝顔は朝美しく昼にはしぼむようすを朝の美人にたとえて「朝の容花(かおばな)」に由来している。
・撫子(なでしこ)
ナデシコ科の花の中で大和撫子(河原撫子)のことをさす。
・齢草、勝草、百代草、契草(よわいぐさ、まさりぐさ、ももよぐさ、ちぎりぐさ)
菊の異称。年齢をのばす長寿の草という意味によるものが多いとされる。
・籬の菊(まがきのきく)
竹や柴で粗く編んだ垣根や囲いの中に、無造作に咲き乱れている菊をいう。
・残菊(ざんぎく)、残る菊
重陽の節供以降に咲く菊のこと。菊の花期は長く、秋を過ぎ初冬にもまだ咲いている菊をいうことも。
・雁来紅(がんらいこう)
ハゲイトウ(葉鶏頭)の異称。雁が渡ってくる秋に葉が紅色になることから。
・青瓢、瓢(あおふくべ、ひさご)
熟していない青い瓢箪のこと。
・薄柿
柿が少し色づいているさま。渋柿の汁で染めた薄い赤茶色。柿色より黄味が少なく赤がやや強い。
・熟柿(じゅくし・ずくし)、うみ柿
よく熟した柿のこと。
・木守(きまもり)
柿をはじめとする木の実は来年もよく実るようにという願いを込め全部収穫はせず少し取り残しておく。この取り残された果実をさす。
・早稲、晩稲(わせ、おくて)
早く実る稲と遅く実る稲のこと。
・秋津、蜻蛉(あきつ、とんぼ・せいれい)
秋津とはトンボの古い名前。
・月鈴子(げつれいし)、鈴虫
月鈴子は鈴虫の異称。その他秋の虫では蟋蟀(こおろぎ)、松虫などいる。
・邯鄲(かんたん)
コオロギ科の昆虫。他の科の虫にくらべ身体は小さく鳴き声もかすか。
・初雁→雁行、雁の棹、落雁、雁が音(はつかり→がんこう、かりのさお、らくがん、かりがね)
秋になると「雁渡し、青北風(あおきた)」と呼ばれる北風に乗って渡ってくる雁をいう。列になって飛来する様子を雁行・雁の棹とよび、空から舞い降りる様を落雁、鳴き声を雁が音という。
・雁の使い、雁使、雁書、雁の文、雁の玉章(かりのつかい、がんし、がんしょ、がんのたより、がんのたまずさ)
匈奴(きょうど:紀元前4世紀頃から紀元5世紀にかけて中央ユーラシアに存在した遊牧民族)にとらわれた蘇武(そぶ:前漢時代の人)が雁の脚に手紙をつけて漢帝に便りをしたという故事からきている。雁は手紙を運ぶ使者をいい、転じて手紙の意味にも使われる。
・燕帰る、燕帰→燕帰雁来(つばめかえる、えんき、えんきがんらい)
燕は春に渡来し秋には南方へ帰る。逆に雁は秋に渡来する。
・男鹿、小男鹿・さを鹿、紅葉鳥(おじか、さおじか、もみじどり)
交尾期にある鹿が呼び交わす声は哀愁を感じる秋の風情として、紅葉と合わせて歌に詠まれてきました。紅葉鳥は鹿の異称。
次回は、茶の湯の銘ー季節のことば「冬ー全般」
※参考文献「茶の湯の銘 季節のことば(淡交社)」
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