≪春の銘ー天気・気候≫
・帷子雪(かたびらのゆき)
絹や麻で仕立てた夏の薄衣(帷子)のようにうっすらと積もった雪をさすことば。
・斑雪、斑雪野、はだれ雪(はだれ、はだれの)
春に降った雪が消えたり残ったりして黒白斑(まだら)になったようす。
・名残雪、涅槃雪(なごりのゆき、ねはんゆき)
春になってから降る雪のこと。涅槃雪とは三月十五日の涅槃会(ねはんえ)の頃に降る雪のこと特にいう。
・忘れ雪(わすれゆき)
春に降るその年最後に雪のこと。降りおさめ、降りじまい。
・薄氷(うすごおり、うすらい)
春先に気温が下がり薄く張る氷のこと。また厚く張っていた氷が解けて薄く残っている状態。
・春寒(しゅんかん、はるさむ)
立春が過ぎてからやってくる寒さをいう。
・春光(しゅんこう)、春の日
春の日差しをいう。明るく穏やかな風光・景色のこともいう。
・日永、永日(ひなが、えいじつ)
日没も遅くなりだんだんと昼が長くなってきたうららかな春の日をいう。
・麗日、麗か(れいじつ、うららか)、うらら、春の日
明るく晴れた日差しのやわらかいのどかな春の日のこと。
・好日(こうじつ)
心しずかに過ごす平和な一日のこと。
・和気(わき)
春ののどかで温かい陽気のこと。
・花信風(かしんふう)
花が咲いたという知らせ(花信)を運んでくる風。
・風光る、光る風
春の光のなかを吹きわたる風のこと。
・春一番、春疾風(はるはやて)
立春(二月初)から春分(三月下旬)に吹く強い南風のこと。春一番の後に吹く烈風は春疾風という。
・貝寄風(かいよせ)
旧暦二月二十二日の大阪四天王寺聖霊会(しょうりょうえ:聖徳太子の法会、現四月二十二日)の頃に吹く西風。舞楽舞台に供える花を難波の浜辺に吹き寄せられた貝で作ることから。
・菜種梅雨(なたねづゆ)
菜の花の盛りの頃に降り続く長雨のこと。
・青雨、翠雨、緑雨(せいう、すいう、りょくう)
新緑の頃草木を青く染めるように降る雨のこと。
・春霖、春時雨、春驟雨(しゅんりん、はるしぐれ、はるしゅうう)
春霖は春の長雨。時雨・驟雨は一時的な通り雨をさし夏の季語と区別して頭に春をつける。
・若菜の露(わかなのつゆ)
萌え出たばかりの若菜に宿る露のこと。
・霜別れ、別れ霜(しもわかれ、わかれじも)
晩春に発生する最後の霜。
・霞、霞衣(かすみ、かすみごろも)
大気中に微細な水滴が浮遊し遠くのものがうっすらぼやけて見える現象をいう。秋のそれは「霧」。
・八重霞(やえがすみ)
霞が深く立ち込め幾重にもたなびいている春特有のさま。
・霞の友
霞のかかったうららかな光の下で友と語らうのどかな春の一日。
・朧、朧夜、朧月(おぼろ、おぼろよ、おぼろづき)
月もあたり一帯もぼんやりもうろうとしている春の夜。
・糸遊、陽炎(いとあそぶ・いとゆう、かげろう、かげろい)
暖まった地面から立ち上る水蒸気で遠くのものがゆらめいて見えること。
・蜃気楼、海市(しんきろう、かいし)
大気中の光の以上屈折で海上や砂漠に船や風景、人の虚像が浮き上がったり逆さに見える現象のこと。
次回は、茶の湯の銘ー季節のことば「春ー海川・山里の風景」
※参考文献「茶の湯の銘 季節のことば(淡交社)」
当店では新旧・書付ものからお稽古もの問わず
お茶道具であればきちんと拝見、買取りさせていただきます。
コメント