茶の湯日記

茶の湯の銘ー季節のことば「秋-海川・山里の風景」

≪秋の銘ー海川・山里の風景≫

・秋の海

明るい穏やかな夏の海と、荒々しい冬の海との中間の海。変化に富んだ表情を見せてくれる。

・秋の水、秋水(しゅうすい)

秋の澄みきった水のこと。一点の曇りもない研ぎ澄まされた鋭利な刀のたとえでもある。

・蘆刈→蘆火(あしかり→あしび)

水辺の蘆を刈り取る晩秋から冬にかけての風景をいう。また刈る人も。蘆火は刈ったものを燃やして暖をとる。

・蘆刈小舟、蘆舟、蘆間の舟(あしかりおぶね、あしぶね、あしまのふね)

刈った蘆束を運ぶため入江、沼、川などを行く舟のこと。蘆間の舟は蘆のまにまに見え隠れする風景をいう。

・柴舟(しばふね)

刈り取った柴を積んで川を下る舟のこと。

・鴫立沢(しぎたつさわ)

渡り鳥の鴫が南へ渡るために水辺からいっせいに飛び立つ様子。

・一望秋(いちぼうしゅう)

一目で秋の風景や風情が見渡せることをいう。

・山の色、秋の山

美しく彩られた秋の山のこと。

・山粧う(やまよそおう)

山が紅葉に粧われたようすを表すことば。

・深山路(みやまじ)

「みやま」とは山の美祢(美山)と奥深い山という二つの意味をもつことば。

・唐錦、錦秋、深山の錦(からにしき、きんしゅう、しんざん(みやま)のにしき)

金銀その他の色糸で美しい文様を織り出す唐織物を錦と。秋の美しさや、紅葉した美しい山をその織物に例えたことば。

・紅葉(もみじ)

もみじとは「紅葉つ・黄葉つ(いずれも「もみつ」と読む)」という動詞から変化してできたことば。楓が代名詞だが、銀杏紅葉(いちょうもみじ)、櫨紅葉(はぜもみじ)、桜紅葉、柿紅葉、初紅葉、薄紅葉、照紅葉(てりもみじ)などの季語もある。

・落葉時雨(おちばしぐれ)

木々の葉が落ちていく音を雨に例えた表現方法。

・落葉舟(おちばふね)

水面に落ちた葉を舟に見立てていうことば。

・吹寄(ふきよせ)

紅や黄色の落葉が風で一か所に吹き集められた風情をいう。

・末枯(うらがれ)

秋もいよいよ終わるころ、草木が枝先・葉先から少しずつ枯れ始めていくと様。

・稲の波、稲穂の波、穂波(いなほのなみ、いなほ)

秋の田んぼ一面に実った黄金色の稲穂が風になびく様子を大海の波に例えたことば。

・落し水(おとしみず)

実った稲穂が頭を垂れ始めるころ、田の畦(あぜ)を切ったり堰(せき)をはずして水を外へ流すことをいい、収穫の合図でもある。

・稲架・稲掛、稲扱(はざ・はさ、いねこき)

刈り取った稲は稲架に掛けて干し、そのあと穂から籾(もみ)をはずす稲扱をする。

・群雀、稲雀(むらすずめ、いなすずめ)

群れをなす雀。稲に群がる雀。

・鳴子(なるこ)

田畑にくる鳥を追い払う仕掛けのこと。

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・柿の秋

柿は葉が落ちつくす頃に熟れて、晩秋の山里を美しく彩ってくれる。

・豊の秋、出来秋(とよのあき、できあき)

平年より稲の実りが良かった豊作の秋をいう。

・秋(の)野、野路の秋(のじのあき)

仲秋から晩秋にかけ、秋色におおわれた野山の風光をいう。

・里の秋

田んぼに稲穂が実り、それをとりまく木々は紅葉し、木の実も実った山里ならではの風景。

・虫時雨(むししぐれ)

晩夏から初秋にかけ、いっせいに虫が鳴き始め、この音が雨のように降り注ぐ様をいう。

・刈萱(かるかや)

萱とはススキ、スゲ、チガヤの総称で秋に刈り取られた萱は屋根を葺いたり風よけなどに使用される。

 

次回は、茶の湯の銘ー季節のことば「秋ー月・月見

※参考文献「茶の湯の銘 季節のことば(淡交社)」

 

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