森田十雨(もりたとう)一九二二~一九八五年
高麗茶碗の名手として、数々の作品を手掛けてきた天才陶芸家と言われる人物のひとりとして知られています。一九二二年、鳥取県の生まれ。名は森田統。幼少期より、ものづくりや民藝品などに興味を抱かれていたようで、その興味が功を奏し、まだ若い時分であった一九四八年から作陶生活を始めたのですが、この作陶生活はなかなか上手くいかず、自らの壁を打ち破ることがなかなかできなかったようです。
ある時、陶芸界でも大家であった楠部弥弌に師事することができ、これをきっかけに陶芸に対する思いに変化が起こったようです。陶芸技術は勿論で、そこに新たな哲学が加えられていったようです。そして、ついには現代日本陶芸展に初入選を果たすまでになられました。それからも数々の展覧会に出品。数々の受賞を繰り返すこととなりました。
また、一九六七年頃からは高麗茶碗に魅せられ、茶碗作りに専念されたようですが、徐々に芸術的なアプローチを施すことに疑問を感じ、同年の日展を最後に展覧会の制作を断念されたそうです。
しかしこれでは終わらず、その後十雨の真骨頂が開花することになっていったようです。高麗茶碗らしい荒々しい肌質、手の中にしっくりと収まるような温もり。この絶妙なバランスを保ち、かつ美しさを持つ、素晴らしい茶碗を製作してこられました。「十雨」と号すようになったのは一九六九年頃のようです。惜しくも一九八五年、死去。
作品一例
箱 書
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