茶の湯日記

茶の湯の銘ー季節のことば「秋-全般」

八月八日頃は立秋、秋のはじまりですが、高温化している現在の感覚には到底合わないかもしれません。しかし、秋のことばには、月に関わるものを含め豊かであり魅力的でもあります。それらのことばが使える時節を待っているうちに「名残」の茶席である十月をむかえます。

秋:八月一日から十月三十一日

≪秋の銘ー全般≫

・開秋、肇秋(かいしゅう、ちょうしゅう)

初秋の頃をあらわすことば。肇は初めの意味で旧暦の七月の異称。

・清秋(せいしゅう)

空が澄みわたって空気の清らかな秋を表現したことば。旧暦の八月の異称。

・梢の秋(こずえのあき)

木の先端を子末(こずえ:梢)を秋の末にかけ秋の末頃をいう。晩秋。旧暦の九月の異称。新暦では十月上旬から十一月上旬。

・長月、夜長月(ながつき、よながつき)

旧暦九月の異称。夜長月は夜が少しずつ長くなる意味を表現。

・九月尽(くがつじん)

月の終わりを「尽日(じんじつ)」という。それを略して「尽」といい、「~月尽」ということばは各月にあります。過行く好季へ名残の気持ちが強くなる。

・さやか、さわやか、さわやぐ、さやけし、爽気、秋爽、爽涼(そうき、しゅうそう、そうりょう)

澄みきって清く、明るく心地よい秋の季節をあらわすことば。

・秋の声、秋声(しゅうせい)

秋の気がこもった風雨の音、虫の音色、葉擦れの音などをあらわす。秋は空気が澄んでいる分、遠くの音も聞こえやすく、ものさびしさをも感じる。

・秋さぶ

秋めいて、晩秋のわびしい感じが深まることをさす。

・秋意、秋興(しゅうい、しゅうきょう)

秋の深い趣きや風情、気配のことをさす。それを楽しむ心情も。

・秋思(しゅうし)

深まる秋は、感じるさびしさ、はかなさという気持ちをふくめていうことば。

・桐一葉

桐の葉が一枚落ちるのを見て秋の到来を感じること。

・嵯峨野、小倉山

京都市右京区の西部一帯の地名。ススキや萩、虫の音、月などの名所であることから秋を代表する歌枕になっています。小倉山は紅葉の名所の一つ。

・龍田姫、立田姫(たつたひめ)

秋の女神をさす。五行説では秋は西、そこから平城京の西にある龍田川から名前をいただいとされる。

・武蔵野

関東平野。多摩川から荒川流域におよぶ広大な平野。秋草、すすき、月、虫など秋の風情が歌に詠まれる東の歌枕の代表。

・菊月、菊先月、菊開月、菊間月(きくつき、きくげつ、きくざきづき、きくさきづき、きくまづき)

菊にちなんだ旧暦九月の異称。

 

 

次回は、茶の湯の銘ー季節のことば「秋ー天候・気象

※参考文献「茶の湯の銘 季節のことば(淡交社)」

 

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