≪夏の銘ー年中行事≫
・安居、夏安居、雨安居、解夏(あんご、げあんご、うあんご、げげ)
サンスクリット語で雨期の意味をさす「あんご」。四~七月、インドでは雨期にあたり外出はせず一か所に定住し学問の修業に励んだことにならい、日本の寺院にても同じ時期に同様の修業をするようになったといわれています。解夏は安居の終わりをさす。
・端午、重五(たんご、ちょうご)
もとは月初め(端)の午の日をさしていたようですが、午と五をかけて五月五日になったといわれています。端午の節供は中国から伝わり日本化した風習。平安時代、宮中では菖蒲(しょうぶ)を天皇に献上、臣下たちは薬玉(くすだま)を賜りました。武家の時代では菖蒲が尚武に結びつき、江戸期には男児の誕生と成長を願う節供となっていきました。
・五月幟、外幟、内幟、初幟(さつきのぼり、そとのぼり、うちのぼり、はつのぼり)
端午の節供に立てるのぼり旗のこと。江戸期に立身出世を願い登鯉の絵を描くようになったことが現在の鯉登の形になりました。外幟は戸外に、内幟は室内に立てる幟。男児の初節供にたてるものが初幟。
・登鯉(のぼりごい)
中国は黄河上流にある龍門の滝を登り切ることができた鯉は龍になれるという故事から「鯉の滝登り」「登龍門」といったことばが立身出世のたとえに用いられるようになりました。
・賀茂祭、葵祭(かもまつり、あおいまつり)
五月十五日に京都の上賀茂神社と下鴨神社で行われる祭礼。
・競馬、足揃(うまくらべ、あしぞろえ)
上賀茂神社で五月五日に二頭の馬を走らせ競わせる「加茂競馬神事」のこと。それに先立ち五月の一日に試乗の儀式があり「足揃」といいいます。
・嘉祥菓子(かじょうがし、かしょうがし)
旧暦六月十六日に疫病を祓うために身分に関係なく神前に十六個の餅をお供えして共にいただく風習がありました。嘉祥元(八四八)年に始まったことからといわれている。現在六月十六日は「和菓子の日」。
・夏越の祓、水無月祓(なごしのはらえ、みなづきはらえ)
古来より一年を二分して六月晦日に夏越の祓、十二月大晦日には年越の大祓が行われてきました。形代に穢れを託し水に流したり、茅の輪くぐりが神社では行われる。関西では氷室の氷を形どった三角形のういろうに厄除けの小豆を散らした「水無月」を食す習慣がある。
・茅の輪(ちのわ)
茅萱(ちがや)で作った大きな輪のことをいう。六月三十日の夏越の祓に神社設けられる。
・祇園会(ぎおんえ)
七月一日から一か月かけて行われる京都八坂神社の祭礼で、各町の山と鉾が市内に設けられ、十七日は巡行する。
・七夕、星祭、星迎、星合
旧暦の七月七日、現代では新暦のそれと八月七日に行われている行事をいう。
・天の川、銀河
牽牛星(けんぎゅうせい)と織女星(しょくじょせい)が毎年七月七日に渡って逢瀬をたのしむ川。恒星の集まりが天空を取り巻く川のように見える現象。
・鵲の橋、烏鵲橋(かささぎのはし、うじゃくばし・うじゃくきょう)
牽牛星と職女星が天の川を渡る時、鵲が翼を広げて作るといわれる橋のこと。また宮中を天上になぞらえ宮中の舎殿の階段もいう。
・梶の葉(かじのは)
カジノキの葉のこと。手の平のような切れ込みがある。家紋にも使われている。七夕にはその昔、七枚の梶の葉に詩歌を書いて職女星を祭る風習があったようで、その葉が売り歩かれたといわれています。また裏千家では盛夏の涼の演出に水指に用いる(葉蓋)。
・願の糸、願糸⇒糸巻(ねがいのいと、がんし、いとまき)
七夕に女性が機織(はたおり)の上達を願い竿の先に飾った五色の糸をいう。五色の短冊はその名残ともいわれています。
次回は、茶の湯の銘ー季節のことば「夏の動植物」
※参考文献「茶の湯の銘 季節のことば(淡交社)」
当店では新旧・書付ものからお稽古もの問わず
お茶道具であればきちんと拝見、買取りさせていただきます。
コメント