茶の湯日記

お茶道具の出張買取り、京都市北区。

八月二十一日は一か月ぶりにご贔屓にしていただいている、リピーター様よりお茶道具の出張買取り依頼をいただきました。

いつも数点と申し訳なさそうにお電話を頂戴しますが、当店としてはお仕事をいただけることは有難く、喜んでお伺いさせていただいております。

この日もお茶碗が三点とのお話でした。お電話では備前焼(岡山県)の金重素山作が二点と三朝焼(鳥取県)の森田十雨作が一点とお聞きしておりました。どちらも名工として名高い作家さんでございます。

拝見させていただきますと残念ながら、素山作は全くの別の同号を用いている素山の作でどちらも真作とは別の作品でした。確かに京都府亀岡市で大本教本部の花明山(かめやま)窯や、同綾部市の鶴山窯にて三代教主出口直日に指導を受けながら助手を務めていたという経歴はあるものの、実際その時分の作品は確かな証拠はないので判断しにくいところではあります。当の私も道具屋歴の中でその時分の作品は見たことが無く、独立後の岡山県の円山窯で焼かれた備前焼としての作品は沢山拝見させていただきました。

このことから、今回の作品の鑑定としましては、片方はおそらく瀬戸で焼かれたものと、もう一方はその他同号の作家のものと判断させていただきました。

さらに高麗茶碗写しの名手、森田十雨作とされるものも十雨と号す前の作の可能性はあるとしても、三朝焼の表記・栞はあるものの共箱ではなく、また、陶印(「の銘」)が無くこちらも十雨の作ではないと判断させていただきました。三朝焼であっても工房作品的なものだと思います。

森田十雨・高麗茶碗の名手 -買取り作家-

それぞれが真作であれば一点ずつ評価できるのですが、この日の査定は先の結果を踏まえ全てまとめての評価とさせていただきました。

両端が「金重素山」中央が「森田十雨」とされていた。

 

この日も説明、査定にご納得いただきお譲りいただけることになりました。お譲りいただきましたお茶碗たちは次のほしい方のもとへと橋渡ししてまいります。

この度も拡大するコロナ禍にも関わらず、いつもご依頼をいただき誠にありがとうございます。

当店では新旧・書付ものからお稽古もの問わず

お茶道具であればきちんと拝見、買取りさせていただきます。

 

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