≪春の銘ー梅・桜≫
・此花(このはな)
梅の風雅な呼び方。
・花の兄、春告草(はるつげぐさ)、好文木(こうぶんぼく)
梅の異称。梅の花は一年の最初に咲くため。好文木は学問に励むと花が開くという故事より。
・梅が香(うめがか)、清香(せいこう、せいごう)、君子香(くんしこう)
梅の花の香のこと。君子香は梅の異称。
・飛梅(とびうめ)
故事。都から太宰府へ左遷される道真公が大切にしていた庭の梅に「東風(こち)が吹かば匂おこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな」という詠歌を掛けておいたところ、流刑地の庭に梅が生えたという。
・軒端の梅(のきばのうめ)
軒近くまで伸びて来ている梅の枝。京都東北院にある白梅の名前。
・未開紅(みかいこう)
花が開く前の蕾(つぼみ)の時から紅色をしている紅梅をさす。梅の園芸品種の一種ミカイコウ。桃色八重の花。
・槍梅、鑓梅(やりうめ)
天に向かって真っすぐに伸びる梅をさす。
・溢梅(こぼれうめ)
散りこぼれた梅の花びらで構成された意匠をさす。
・梅月、梅津月(うめつづき)、梅見月⇒桜月、花津月(はなつづき)、花見月
旧暦二月は梅、三月は桜(花)に代表される月でそれぞれ異称もある。
・花の雲、花白雲(はなはくうん)、花霞(はながすみ)
日本の花といえば桜。花の雲とは遠くに見える桜の盛りを雲に例えて表現したことば。霞と見れば花霞になる。
・山桜、里桜(やまざくら、さとざくら)
自生種の山桜に対して、里桜はソメイヨシノを代表とする園芸品種の総称。
・雲珠桜(うずざくら)
京都鞍馬山に咲く桜の総称。鞍馬に馬具の金具「雲珠(うず)」をかけていう。園芸品種の一種ウズザクラ。
・花明(はなあかり)
満開の桜は暗闇でもまわりを仄(ほの)明るくする。
・花筵(はなむしろ)、花茣蓙(はなござ)
花見の時に使う敷物。転じて花見の宴のこともさす。草花が一面に咲きそろったようすや花びらが一面に散っている様子を敷物に見立てたことば。
・花篝(はなかがり)
夜桜見物のために花の下で焚かれる篝火(かがりび)
・花筏(はないかだ)
川面(かわも)に散った花びらが連なって流れる様を筏に例えたことば。異称文様としては筏の上に花びらや桜の折れ枝が描かれる。
・み吉野、三芳野(みよしの)
桜の名所である奈良吉野は歴代天皇の行幸の地であるため美称の「み」をつけて詠まれることが多い。
・残花、遅桜(ざんか、おそざくら)
散り残った花。春の終わりに咲いている桜の花のことをさす。
次回は、茶の湯の銘ー季節のことば「春ー暮らし」
※参考文献「茶の湯の銘 季節のことば(淡交社)」
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