≪春の銘ー動植物≫
・草若葉(くさわかば)
春の盛りに萌え出た草の若々しく伸びた新しい葉をさす。
・櫱(ひこばえ、ひこばゆ)
木の切り株や根元から萌え出た若芽のこと。
・早蕨(さわらび)
新芽が出たばかりの蕨。先がこぶしのように丸まっている形。「蕨手」ともいう。
・菜の花、菜花、菜種
春の野を黄色に染めるアブラナの花。桜にさきがけて春を告げている。裏千家家元で行われる利休忌の花としても知られる。
・茎立(くくたち、くきたち)
蕪・大根、葉野菜の茎が伸びること。
・木の芽⇒木の芽和え、木の芽田楽
山椒の新芽のこと。
・木の芽(このめ)⇒木の芽雨、木の芽風、木の芽時
木々から出る新芽の総称。
・柳、柳条(りゅうじょう)
春に新芽を出す枝垂柳(しだれやなぎ)をさすことが多い。条は枝の意味。
・柳絮(りゅうじょ)
柳の絮(わた)。春先に花穂をつけて、その後実が熟して白い絮がつく。風が吹くと飛んで宙に舞う。
・若緑、若翠(わかみどり)⇒松の花
四月頃、松は枝先に新芽を出す。若緑。先には細かな球状の雌花をつけ下部に穂状の雄花をつける。松は常緑樹ですが、季節による変化があり、それにあわせたことばもある。
・藤波、藤浪
山野に自生している藤の花が風になびいて波のように揺れているさま。
・登鮎(のぼりあゆ)
海で育った鮎の稚魚が二三月頃から川を遡り、激流に踊る姿をさす。鮎だけでも夏の季語となる。
・初蝶
春の野でその年一番に目にする蝶のこと。紋白蝶、黄蝶が多い。
・春告鳥(はるつげどり)⇒初音(はつね)
鶯(うぐいす)の異称。他にさきがけて春の訪れを告げる鳴き声を初音という。夏の杜鵑(ほととぎす)の声にも初音を用いる。
・雲雀(ひばり)、揚雲雀(あげひばり)、告天子(こくてんし)
力強くさえずるひばりは春を代表する鳥。雲近くまで舞い上がることから、雲雀、告天子の名が付き、そのさまは揚雲雀と表現されています。
・百千鳥(ももちどり)
春暁(しゅんぎょう)、空が白む頃から鳴き始めるたくさんの鳥のこと。平安末から室町期には鶯をさしていたもよう。
・きぎす、きぎし
雉(きじ)の古称。日本の国鳥で鳴き声や羽音は昔より「ほろろ」「ほろほろ」と表現されています。
・燕、乙鳥(つばめ、いっちょう)、玄鳥(げんちょう)、飛燕(ひえん)
春になると南方から渡ってきて人家の軒などに巣をつくる燕科の鳥。古くは「つばくらめ」「つばくろ」と呼ばれたり、乙鳥、玄鳥の異称がある。
・帰雁(きがん)、雁帰る(かりかえる)
秋に渡ってきた鴨科の水鳥雁が帰ること。
・引鶴(ひきつる、ひきづる)、帰る鶴
秋から冬にかけて渡ってきた鶴が北へと帰るため群れを成し飛び立っていくさま。
・鳥風(とりかぜ)
日本で越冬した渡り鳥がいっせいに北へ向かい飛び立つ羽音、羽ばたきによって生じる風のこと。
・春駒(はるこま)
春の野原にいる馬。特に春に生まれたばかりの子馬をさす。また心が勇みはやることのたとえにも使われる。
・落し角、忘れ角(おとしづの、わすれづの)
雄鹿の角。毎年四、五月頃に自然に落ちて生えかわる。
次回は、茶の湯の銘ー季節のことば「夏ー全般」
※参考文献「茶の湯の銘 季節のことば(淡交社)」
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